向こうの方から自転車をこぐ男の人さえも、先生だと思ってしまう。 黒いスーツを着た 大きな人。 見間違える訳ないじゃん。 アレは先生だよ。 私の大好きな先生だよ。 車が1台も通らないから、周りは静かだった。 この距離なら、大声で叫べば先生は気付くだろう。 でも、何も言えなかった。 今さら意識なんかして… カッコ悪いなあ……私。 結局何も言えなかった自分に後悔した。 もうすぐ…先生とのお別れが近づいてるのに……。