「わたしは、ただ、その、絵が描きたいだけで……」 消えそうな声で自分の思いを告げる。 部長さんは優しいまなざしをずっと向けていてくれた。 「じゃあ、オレ達と同じだ。 オレも、こいつも、他の二人も、ただ描きたいだけだよ」 部長さんは、そっぽを向いている根岸先輩をちらりと見て、にっこり微笑んだ。 あ。 今の、すごくいい顔。 爽やかで、穏やかで。 部長さん、本当に絵が好きなんだ。