それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜



「ったく、噂の真相がわかったよ。

 あのビルに出入りしているところを誰かが目撃して、それに勝手に尾ひれはひれがついてったんだろうな。まあ確かに客はホストだキャバ嬢だって人が多いけどさ。

 ったく、誰が夜の街を仕切ってるだ。俺は洋食屋でフツーに働いてただけだっつうの」


根岸先輩は「あほらし」と言って、盛大なため息をついた。


なんだ。


そうだったんだ。


真面目に普通にアルバイトしてただけだったんだ。


だけど、そりゃ、勘違いされても仕方ないよ。


あのテナントビルの数々の看板見ればさぁ……。


ぐったりうな垂れていると。


「なあ。ちょっと、いいか?」


根岸先輩は、真剣な面持ちで公園内のベンチを指差した。


「は、はい……」