年季の入った建物が建ち並ぶ場所。
浴衣姿の人々。
立ち込める湯気。


家族連れやカップルで賑わっている、いわゆる温泉街。


私のテンションは高かった。


「柾樹っ!荷物置いたら、お土産見に行きたいっ!」


「…あ?あぁ。いーよ」


私の隣で眠そうな顔をしている柾樹は、私の話を聞いてるのか、どうなのか。


冬休み、クリスマスの今日。
旅行代を折半してそれをクリスマスプレゼントにした私達。


2人では初となる1泊2日の旅行に来ていた。


…近場なんだけれど。


「…柾樹、眠い?」


「まぁ寝たのが遅いからな」


欠伸を噛み締める柾樹も私も寝たのは朝方。
…起きたのは朝の7時。


眠くないわけがないよね…