今、わたしを抱きしめている彼。
わたしの大好きな彼氏、大輝にひどいことをした集団のおそらくトップ。
部下も縮み上がるような低い声に
独特の黒いオーラを携えていた彼は
わたしの幼なじみ、新橋 八尋(しんばし やひろ)その人だった。
「なんで?なんで、ひろくんが・・・・!!
引っ越したんじゃっ!?」
「帰ってきたんだよ!なのに、綾ねえは実家いないし・・・・。」
昔のように、わたしの体に顔を摺り寄せて泣く真似をする。
ひろくんは、昔近所に住んでいた1つ下の男の子で
お互い一人っ子だったのと、親たちも仲がよかったのとで、
よく一緒に遊んでいた。
というより、わたしがお姉ちゃんでひろくんが弟って感じだった。
だから、ひろくんはわたしを"綾ねえ"つまり、綾姉ちゃんと呼んでいた。
小さい頃は、背も小さくて体も細っこくて
虫もだめの怖がりで泣き虫で、どこに行くにもわたしに着いてきた。
それに、よく泣いて『うわ~ん!綾ねえ~~~~!!!』とわたしを呼んでいたし。
そんなひろくんだから、わたしも放っておけなくて本当の弟のように思っていた。
でも、小学3年生の春に、ひろくんはお父さんの転勤で引っ越していってしまったんだ。
それから親同士は連絡とりあっていたみたいだけど
わたしたちは、ほとんど接触のないまま今日まで来てしまった。
正直、わたし自身、こうして再会するまで
ひろくんのこと、思い出せなかったし。


