「いいじゃん!俺、頑張ったし、あれくらいのご褒美はよくない?」
「その、ご褒美とかいう言い方が嫌なの!」
「じゃあ、キスしたことは怒ってないんだ?」
「怒ってる!」
ムッと唇を突き出すと
「あれ?もしかして、またしてほしいの~?
いいよ~チュ~~~」
「やめて!」
ふいっと顔を背けると「っちぇ~」とつまらなさそうな声が聞こえてきた。
「じゃあ、わたし行くね!」
ブレザーを羽織って
栄一くんに手をふり玄関に向かう。
「綾菜ちゃん。」
・・・・?
振り返ったわたしの額に軽くキスを落として
栄一くんは耳元で囁いた。
「・・・・・っ。」
その言葉に、胸がきゅうっと切なくなった。
一度瞼を伏せて
また見上げる。
すると、彼は幸せそうに笑っていた。
本当に・・・・この人は、
いい人すぎるよ。
損するくらいに。


