うまい・・・・。
すっげえうまい。
誰かが作ったものを、こんなに美味しく思ったのは初めてだ。
家庭科の実習とかでも
だいたい俺の方が上手かったから。
「どう?」
首をかしげる。
気になっているみたいで、じっと見つめている。
「うまいっす。めっちゃ。」
そう言うと、うれしそうに頬をほころばせる。
「よかった。
まだいっぱいあるからね。」
「はい!ください。」
「うん、はい、あ~ん・・・・。」
また口をあける。
そして、流し込まれる優しい味。
そんなことを繰り返すうちに俺の気持ちが変わってきていた。
綾菜さんは大輝さんの彼女。
こんなこと許されない。
でも、大輝さんは今いない。
黙っていれば。
それに、今日くらいは・・・・
俺が独り占めしたっていいじゃないか。
今日だけ。今日だけなら。


