大輝は、そっと唇を離した。
やっぱりか。
いつもそうなんだもん。
自分ばっかり、好きなだけ求めてくるくせに
わたしが求めだしたらおあずけ。
唇をつきだして、大樹を睨むと
少し勝ち誇ったような顔をしていた。
「意地悪!」
「おまえが、俺の許可もなくキスなんかするからだろ?」
「だって、したくなっちゃったんだもん。
『して』って言っても大輝してくれないじゃん。」
「・・・・痛!」
いきなりでこピンされた。
「あたりまえだろ、バーカ。」
大輝はわたしを軽く持ち上げるように立たせて
「置いてくぞ。」
そのままリビングを出て行った。
「待ってよー!!」
わたしも後を追いかけた。


