「倉持、だよな?」
渡り廊下には、一応照明がついている。
だから明るい。
明るいところから、暗いところ見ている彼は
人物の特定がしずらいみたい。
わたしは、答えるより早く
早足で渡り廊下に入って姿を見せた。
相手は、自分の判断が正しかったことに安堵の表情を見せる。
「やっぱり。
こんなとこで、なにしてんの?
部屋に戻ってたんだろ?」
それはこっちの台詞だよ。
そう言おうかと思ったけど、
やっぱり変に相手を意識してしまって、上手く言葉がでてこない。
なにも言わないわたしに
相手もとくになにも言わず
渡り廊下の両サイドにある
腰より少し高いくらいのフェンスに両ひじをついて、暗闇を見つめる。


