しゃぼん玉


「どうして?」

目を伏せ、リクは尋ねる。

ナナセはまっすぐリクの顔を見て、

「松本先生達は、リク君のことが可愛くて仕方ないんじゃないかな?」

ナナセは、リクのお見舞いに来た日のことを思い出していた。

あの時、正美と話した。

義弘にリクの家庭教師をお願いされた時のことも、同時に浮かぶ。

「実は俺、最初はこの話断ってたんだ。

でも、松本先生は何度も熱心に頼み込んできて……。

『息子の将来がかかってるんだ』って、すごく必死な感じで……。断れなかった」

「もう……いい加減にしろよな……ったく」

リクは、父親の強引さに呆(あき)れた。

「それだけ可愛いんだよ、リク君のこと。

逆に俺は、リク君の方がうらやましい。

たしかに俺は、大人の人には良く思われやすいけど、同世代の人には煙たがられてきたというか……。

だから、リク君みたいな子が本当にうらやましいよ。

シュンに聞いたけど、バイト先でもみんなと仲良くやってるんでしょ?」

ナナセの告白がリクにとっては意外で、目を丸くしてしまう。

「そんなの、適当だよ……ナナセ君は、嫌われてなんかいないよ。

少なくとも俺はナナセ君のことすごいと思うし、シュン君だってナナセ君のこと好きみたいだし」