ドスンと身体ごと、彼は私に体当たりをした。

「キャァァァァァッ!」

そしていじめっこが私から離れると、教室内に悲鳴が上がったわ。

それは廊下を伝って、全校舎に響き渡るような金切り声だった。

何故悲鳴が上がったかって?

それもそのはず。……だってガタガタと震えている彼が握っていたのは工作用の幅広カッターで、全部出ているその刃と彼の半身は、べっとりと血に染まっていたのだから。

「不死子が刺された!」

他の誰かがまた叫んで、一斉に視線が私へと注がれたの。

刺された私は痛いと言うより熱いだけで、自分から吹き出す血をただ茫然と見ていたの。

「刺されちゃった」

そばで口をあんぐりと開けていた同級生に縋ったら、私の血がその子に掛かってしまって、しまいには青い顔をして倒れてしまった。