LIMIT COMPLEX

ヨッシーは、まっすぐにお姉さんを見てた。

スタンドマイクを両手で持ち、

右足でリズムを取る。

その一挙手一投足に客席中の女の子が悲鳴をあげるのに、

まるで、

ヨッシーの前には、

誰も居ないみたいに、まっすぐに。

やっとリホちゃんの横にたどり着いた時には、

ちらほらと、ヨッシーの視線に気づいた女の子が、

不思議そうに後ろを振り向き始めていた。