「マジ全然わかんないんだけどー」


「アンタそんなんでどうすんのよ?試験は明日からなんだからちゃんとしなさいよ」

若干投げやりな悠士君を美菜が叱咤する。
ベシッと頭を叩かれた悠士君はぼそり暴力女と。
そんな光景もここ最近じゃぁ見慣れたもの。


「アホな男はダサいぞ?」

柾樹が悠士君を鼻で笑う。
唇の片端を持ち上げたその意地悪な顔…やめて欲しい。

心臓に悪いから。



「はぁ…テストなんてなくなれば良いのに…」


「どこがわからないの?一緒にやろ?」

ブツブツぼやいていた悠士君のノートを覗き込んだ私は吃驚した。


至る所に落書きがしてある。
て、ゆーかなんか私と柾樹の名前がめっちゃ書かれてるんだけど!?


あ、美菜の名前もある。


…ナニコレ。


「彩音ちゃんは優しいねーどっかの誰かさん達とは違って〜」

ノートをガン見する私をよそに柾樹と美菜を見ながら悠士君が言う。


待って!それ説明して!
説明プリーズ!!!


「悪かったわね。優しくなくて」

ジュースを飲みながら美菜が言う。柾樹に至ってはシカトだ。


「あんまりキツいと男から逃げられるぞ〜」


「悠士!アンタには言われたくないのよ!!」


結局聞いても説明してくれなかった悠士君は舌を出して美菜を挑発していた。
そしてその安い挑発に乗る美菜。


ぎゃーぎゃー騒ぎつつ憎まれ口を叩き合う2人はなんだかんだで仲がいいけど、はっきり言って今は邪魔な存在でしかなかった。


そんな2人の痴話喧嘩をBGMに試験勉強に励んだテスト前日だった。