学校に着くともうほとんどの人が体育館に集合していたから私は慌てて美菜達の所に行った。

「おはよ!」

「おはよ〜」

私の挨拶に美菜は携帯をカチカチいじりながら答えた。


「…彼氏?」


「そうよ〜。あいつ合宿の間もメールしろってうるさくてさ〜」

面倒臭そうにメールを打つ美菜。
…面倒ならならしなきゃいいのに。


美菜には同い年の彼氏がいて、なんでも中学の3年の夏から付き合っているらしい。


「あいつ束縛激しくてちょっとウザイのよね〜」

ブツブツ言いながらもメールを打ち続ける美菜。


…束縛、か…

「……でも好きなんでしょ?」

「まぁね♪」


私の質問に照れ笑いしながら答える美菜はなんだかんだで彼氏と仲が良さそうだ。


それからしばらく美菜と話していると集合時間になり皆バスに乗る事に。


「今から2泊3日楽しみだね」

「だね〜彩音なんかやらかしたりしないでよ〜?」

バスの座席に座りながら美菜は柾樹と同じような事を言った。


「なんで柾樹と同じ事言うの〜?」

人をトラブルメーカーのように扱いやがってぇ!


ほっぺを膨らませながら美菜を睨んでやった。


「だってなんかやっちゃいそうな性格だしさ」


にょきっと前の席から悠士君が顔を出す。


「みんなひどくない?」

「ぶっ」

嘆きながら言う私を見て悠士君の隣に座っていた柾樹がふきだしたのは言うまでもない。


「もうみんな知らない!」

ふて腐れた私は窓の外に視線を向けた。
くっそー!!イライラしながら移り変わる景色を見ていたら


「もぉ〜ごめんって!これ食べる?」

目の前に差し出されたチョコレート。


「食べる〜♪」

私はさっきの事も忘れて美菜が差し出したチョコレートの箱を受け取った。

…これを人は俗に餌付けと言うのだけれど。