ふらふらと中庭まで行った私ははっと我に返った。
なに、言われたとおりに行ってんの?私…

やっぱり帰ろうと踵を返そうとした時見たくない物が視界に入った。


…あ、柾樹…



中庭には柾樹と…見た事のないかわいらしい女の子がいた。


屋上から見えた中庭とは違って渡り廊下を挟んだこちら側の中庭には柾樹達以外誰も居なかった。


そっと物置の陰から2人を観察している私はかなり怪しいと思う。


あの子見たことないから、他のクラスの子かな?と思案しながら観察していたらバチリ。目が合ってしまった。
思わず身を反って物置に隠れる。


………何やってんの…私。


何か話しているようだけどよく聞こえない―――が

すごく仲は良さそうだ。


今朝のユキちゃんや他の子とは態度が大違いだった。


なんだか胸がムカムカしてきてこの光景を見たくないと思っていたら…


その女の子が柾樹に抱きついて
「ありがとう!このお礼は今度するわ」

そう言って颯爽と校舎に消えていった。



その瞬間チクリと痛んだ胸に私は自分の気持ちに気付いてしまった…


私…柾樹が好きなんだ…と