「じゃあ、ゴールデンウイークは帰って来るんでしょう?」


玄関を出る時に思い出したかのようにお母さんが聞いてきた。

「うん。帰るつもりだから心配しないで!」


「たまには連絡しろよな!」


既に玄関からは姿の見えないお兄ちゃんの声だけが聞こえる。


「不規則な生活はするなよ」


ぽんぽんと頭に手を置きながらまるで小さい子をあやす様な事をしてくるお父さん。


「…………私子供じゃないから」


ふくれっ面で言って頭に置いてある手をやんわりと払いのけた。


「じゃぁ一人暮らし頑張るのよ。辛い事があったらすぐに言うのよ?」



最後の最後まで心配性なお母さんはやっぱり優しい。


「わかった。ありがとうお母さん」


私は3人を見送って玄関の鍵を閉めた。



「ふぅっ…」


だいぶ片付いた部屋をざっと見渡して後は明日で良いかと思いお風呂に入って寝る事にした。