「…そいつと…付き合ってんの?」 さっきとは打って変わって、少し寂しそうな柾樹の言葉が頭に響く。 …なんで? どうしてそう、なるの? 付き合ってるワケ…ないじゃん… 私は柾樹が好きなんだよ? 「…付き合って……ないよ…」 私は朝井さんから離れて柾樹を見る。 向き合う。 向き合わなきゃ。 逃げちゃダメ… 自分の気持ち―… 伝えなきゃ。 自然にぎゅっと手を握る力が強くなる… 「私が…好きなのは………柾樹だよ」 そう告げた声は震えていた。