「美菜に言っちゃったの!!言うの遅いよ!!」
怒号を浴びせられた私は萎縮するはずなのに、何故か私も怒鳴り返していた。
「マジかよ…」
怒鳴り返されたのが意外だったのか、少しきょとんとした顔をした後、みるみるうちに呆れ顔になった柾樹。
「あっ!でも誰にも言わないでって頼んでみる!!」
私は回れ右をして急いで教室に戻った。
誰かに言う前に口止めしなくっちゃ!
後ろで柾樹が何かを言った気がしたけど今はそれ所じゃないっ!
バンっ!!
教室に勢いよく入った私は皆に一斉に振り返られる。
いつもなら恥ずかしいと思う私も、とりあえず美菜に話さなくちゃいけないと思って美菜を探せば―…
―いた。
教室の後ろで悠士君と楽しそうに話している美菜を発見!
「美菜!」
「彩音どうしたの!?」
私の勢いに推されながらも少し驚いた顔で私を伺う美菜。
「…ちょっといい?」
こんなクラスメイトがわんさかいる所じゃ言えないから、廊下に美菜を呼び付けて
「さっきの近所だって話、誰にも言わないでほしいの」
と一言。
これで一安心。
柾樹に怒られないですむっ!
と思っていたら―
「ゆ…悠士に言っちゃったわよ…」
教室の中を指差し少し気まずそうにする美菜。
NO!!
ばっと後ろを振り返り、教室の中を見るとばっちり悠士君と目が合った。
その唇はキレイな弧を描きニヤっと笑みを浮かべていて…
やーんっ!
私のバカ!ドキッとしてる場合じゃねー!
「あ、あの…悠士君?美菜から聞いたことは誰にも言わないでほしいんですけど…」
私、速攻で悠士君の前まで行って手を合わせてお願いした。
渾身の力を込めてお願いした。
今なら短距離世界・新出せるかも!
「言わないよ?そんな事誰にも」
爽やかな笑顔を見せてくれた悠士君。
よしッ!今度こそ安心!!
「ありがとう2人とも…」
私がそう言った時、丁度教室に柾樹が入って来た。


