そして大恥かいた入学式はなんとか終わって、教室に移動。
その途中で、腕をいきなり誰かにつかまれた。
「きゃぁっ!」
思わず出た小さな悲鳴。
誰かと思ったら、柾樹だった。
柾樹はただ黙って、生徒がぞろぞろ歩いている所から私を引っ張り出して、近くにあった壁にもたれ掛かる。
その姿が様になってて、ムカつく。
「てかさ〜新入生代表ならそう言ってよね!お陰様で大恥かいたじゃん!」
清々しいほどに爽やかな笑みを浮かべる柾樹に怒りをぶつけた。
…なにその笑顔。
「ははっ悪い悪い。言うの忘れてたわ」
なんの悪びれもなく言う柾樹は、絶対に言うのを忘れたんじゃなくてわざと言わなかったんだと確信した。
「……で、何か用?」
呆れて怒るのさえ馬鹿馬鹿しくなった私は、ため息を吐きながら柾樹に問い掛けた。
「……お前あれ他人に言うなよ。」
………。
………………。
「……あれって?」
はて、何のこっちゃっと思いながら柾樹を見る
「隣同士で住んでる事だよ!!」
柾樹は私のとぼけ具合にイラだったのか少し怒った口調で語尾を強めた。
「!!!」
私は焦った。
滅茶苦茶焦った。
かーなーり焦った。
焦って、焦って…
「…美菜に言っちゃった…よ?」
あは〜なんて薄ら笑いを浮かべながら茶目っ気を出して言った。
「はぁ?声がちっせぇよ!!」
そんな私にぷっつんしたのか柾樹の怒号が頭上から浴びせられた。
…恐いんですけど。


