美菜はもちろんの事、周りの人が一斉に私を見た。
司会者の“ゴホン”という咳払いに私は、いつの間にか立ち上がっていた足を瞬時に着席させる。
顔が真っ赤になったのがわかる。顔が熱い。
…うぅっ恥ずかしい…
そんな私の奇怪な行動を柾樹は間違いなく見た筈なのに、私の事なんて無視して挨拶をしだした。
なんて奴!
「…知り合い?」
美菜は私に小さく耳打ちしてきた。
知り合い…?
「……知り合いって言うかご近所さん?」
混乱したままの頭で私は答えた。
「えっ?」
それを聞いた美菜までもが大きな声を出してしまった。
流石に騒ぎすぎたのか、先生に鋭い眼光で睨まれた。
わおっ!
目、付けられたらんじゃないの!?
ヒヤヒヤする私を尻目に美菜は「すいませんね」先生に口パクで言うだけだった。
恐るべし美菜。
あなたには恐い物なんてきっとないのだろう…
尊敬しちゃうよ…
「ってかマジで?」
美菜は小声ではあったものの、お喋りをやめるつもりはないらしい。
「うん。お隣さん」
果たしてこれって言って良いのかな?思いながらもらも私は美菜に話した。
柾樹との出会いを。
「そーなんだ。じゃ仲良くなれそうねー」
そう言った美菜はまた瞳を爛々輝かせてそれはもう、とても楽しそうだった。


