「…妃芽はビリヤードした事…ないよな?」


確認のためもう一度聞いてみる。
いや、絶対ないだろうけど。


「うん…ない…けど、頑張るから!!」


「じゃ、まずこれが手玉ってのはわかるよな?」


コクン


頷く妃芽の顔は真剣そのもの。

なにに対しても真面目な妃芽は…彩音に似てるかもしれない。



「俺達がやってるのは9ボール。1から順に手玉を撃って落としていくワケ」


「うん…」





「…まぁとりあえずそんな感じ。わかった?」


「うん。次は4を狙えば良いんだよね?」


「そう。でもここからじゃ、4の前に7があるから直線は撃てないでしょ」


飛ばしても良いけど、妃芽には…無理…。



「じゃ、ここ狙って撃ってみて」

妃芽の逆さまに持ったキューを戻して手渡して台の淵を指す。


「ここ…?」


妃芽はこんな所に?って顔してる。


「うん。力いっぱい撃っていいよ」