「ねぇ知ってる?今年の新入生代表って入試満点でしかも超かっこいいんだって」
式の途中で睫毛バサバサの瞳をギランギランに光らせてはしゃいで美菜が言う。
まるで女豹…
「へぇ〜」
あんまり興味のなかった私は、気のない生返事をする。
「もぉ彩音はイケメンに興味がないの〜?」
式中だというのに不満そうな顔を私の方に思い切り向けて言われた。
あぁっ…先生にバレるよ!
ハラハラしながらも言葉を紡ぐ。
「…そんなことないけど…」
…て、ゆーかイケメンと言えば柾樹。
そーいえば柾樹は?
どこのクラスだったんだろう?
そこでようやく柾樹の存在を思い出した。
気付けばいなくなってて……うちのクラスにはいなかったから違うクラスかな〜…
少し辺りをキョロキョロして柾樹の姿を探してみる。
……見当たらない。
柾樹背が高いからこう…目立ってそうなのに、それらしき生徒は、いない。
『続いては新入生代表挨拶です』
その声にいち早く反応したのは私の隣に座る美菜で、待ってましたと言わんばかりに瞳を輝かせて壇上を見上げた。
そこから…
『新入生代表 榎並柾樹』
先生の声が聞こえた。
ん?今―…
私は壇上を凝視した。
「………………えぇぇぇえぇぇぇっ!?」
一瞬にして思考が止まった私は気付いた時には大声を出してしまっていた。


