しばらくするとドアが開いて彩音は出てきたけれど、その目は真っ赤になっていて頬には泣いた跡がある。
「……大丈夫?」
そっとその涙跡をなぞって私は優しく声をかける。
「美菜…」
その瞬間彩音は涙を目いっぱいに浮かべて私に抱きついてきた。
「大丈夫…大丈夫だから。とりあえず中、入っていい?」
「うん…」
私と彩音は部屋に入った。
「…何があったの?」
私は彩音をなだめながら聞いた。まずはそこから。
ちゃんと聞かなきゃわからない。
「美菜にも言ってなかったけど…私…い…いやが…らせされてて…」
やっと落ち着いた彩音の目にはまた涙。
もうどんだけ泣いたのか…
目が腫れてきてる。
「うん…なんとなく気付いてた…」
「それで朝井さんに偶然目撃されて…それから何度か助けてもらってたんだけど…昨日柾樹がバイト先まで来てて、朝井さんが柾樹に……」
彩音が言葉に詰まった。
「柾樹君に…?」
何か言ったの?朝井さん…
「“毎日毎日嫌がらせ受けてるのに気付きもせずに何してんの?男ならちゃんと守ってやれよ”って…」
……………。


