屋上にいた柾樹を見てやっぱりここだったんだ、と思った。
柾樹のお気に入りの場所は屋上だからな。
「…柾樹、大丈夫…か?」
グラウンドをぼーっと見ている柾樹の横に座る。
体育の授業を受けてる生徒を映す柾樹の瞳は暗かった。
「大丈夫……だったらどんだけ楽なんだろうな」
小さい声で呟いた柾樹は自虐的に笑った。
「俺彩音が俺に頼ってくてない事がかなりショックでさ、彩音が知らない所で傷ついているのに俺は知らなくて朝井って奴は知ってる…。それがすっごい悔しくて。………嫉妬だよな…」
俺の知ってる柾樹はもっと余裕のある奴だと思ってたけど相当マイってるみたいだ…
「嫉妬してもいいんじゃない?普通でしょ。ただ嫉妬してもなんでもまず2人で話し合わないと何も始まんないよ?」
フェンスに寄っ掛かれば背中越しに伝わる生温い鉄の温度。


