「何…してんの?」
やっぱり彩音と朝井が一緒にいるのを見るとイライラする。
ぐっと握りしめた拳を震わせる。
「ちょ…待って柾樹!何でもないからっ…」
「…何してんのじゃねぇよ。俺お前に言いたい事あんだけど」
俺に駆け寄ろうとした彩音を左手で制止してその場に留ませ彼女の言葉をかき消すように朝井が言う。
「朝井さん!!!」
「お前彩音の彼氏でしょ?何でこんなになるまで放っておくんだよ!!」
「ちょっと!朝井さん?何言ってるんですか!!」
彩音は俺の胸倉を掴んだ朝井を必死に止める。
「毎日毎日嫌がらせ受けてるのに気付きもせずに何してんの?男ならちゃんと守ってやれよ!」
「…………」
何も言い返せない。
「朝井さん何言ってるんですか!!勝手に変な事言わないで下さい!!……柾樹も、今の嘘だから」
彩音は俺の腕を掴み弱々しい声でそう告げる。
「ちょ…ごめん」
その腕をやんわりと外し、元来た道を戻った。


