10時を廻り少し経って彩音が出てきた。
「彩…」
「ちょっと待って!!平山ちゃん!俺送って行くから!!」
名前を呼ぼうとした時…朝井も一緒に出て来て言葉を紡ぐのを遮られる。
声を荒げる朝井は彩音ともめているようで…
「もぅ放っておいて下さい。私は自分の力で何とかできますから!」
掴んだ腕を彩音は振り払う。
「そんな事言って今日だってまた…」
その先の言葉は言わなかった。いや、言えなかったのだろう。朝井が俺に気付いたから。
彩音も朝井の視線に気付いたのか、こちらに視線を向け
「…柾樹…?」
ひどく驚いたような戸惑ったような顔をしていた。


