まぁ確かににすごいけどね…


そう思いはしたが決して口には出さない。
思った事をなんでもかんでも口にはしない主義だったから。


「あ!ねぇじゃあさお願いがあるんだけど…」


盛大に手をポンっと叩いた彩音は形のいい唇の片端を上げて少しニヤッっとした。



その笑顔に嫌な予感しかしない。

「…何?」


「朝、もし…もしも!起きてなかったら、起こして………欲しいんだけどぉ…」


前に手を合わせて言ってきた。その声はだんだんと小さくなっている。


「…はぁ?そんくらい自分でしろよ」


こいつは何言ってんだか…
むしろ俺が起こして欲しいんだけど?


「お願い!私朝弱いの!私も柾樹が起きてなかったら起こすから!……ねっ?」




「…」

俺は少し考えた。
…悪くはない…かな?


持ちつ持たれつみたいな感じ?

「じゃあお願いねッ」


俺の無言を肯定と捉えたのか、彩音は勝手に決めて食器を片しだした。