柾樹の話に涙が止まらなかった。それは悲しいからじゃなくて嬉しいから。


そんな事言う柾樹に。


「…ひっく」


止まらない涙と一緒に自然と声が出てしまう。



瞼を開くと目の前にあるのはやっぱり明るい世界でその眩しさに思わず目を細めた。


「彩音もしかして起き…」
「ごめん…本当は寝てなかったんだ…」


柾樹の言葉を遮って私は白状するしかないじゃない。


背を見せる事をやめてくるりと振り返ればいつもと違う柾樹の姿。



赤くなった顔を隠すように手で覆って横を向く柾樹。隙間から見えるのは恥ずかしそう横顔。


それが信じられなくて、これは一瞬夢なんじゃないかって。
私が見せた都合のいい夢なんじゃないかって思った。



だけど髪の毛にふれる柾樹の手が温かくてそこから伝わる熱に夢なんかじゃないって感じた。



「…ありがと…柾樹。柾樹の気持ちが聞けて良かった。私…私も柾樹が好きだよ。だから避けられている事もすごく辛かったの…」


だから私は髪の毛を触る柾樹の手を握った。
直に感じる熱はリアルなんだって印。



「俺こんなだけど付き合ってくれる?」


私の目を真っ直ぐに見据えて言った柾樹は今までに見た事ないくらい真剣な顔だった。


光を浴びていつもより幾分明るく見えた柾樹の髪。


キラキラ輝く髪の毛を一束掬って声にならない気持ちを頭を縦に振ることで伝えた。