最近彼女の様子がおかしかった事は薄々感づいていた。


と言うか本人には悪いけれど明らかにおかしいからすぐ気付いた。


やたら溜め息は吐くし、バイト中も何を考えてるのか上の空。


よく注文間違えて店長には怒られていたし。



バイト終わりは一番変だった。
家という休息の場所に帰るのに、何故か戦場に向かうかのような表情をする彼女は明らかに不自然だった。



…どうやら、彼女を困らせているのは彼女の好きな相手らしい。


張本人だった。




「…さてどうするかな…」


売店に向かいながら思案した。そんな女泣かせの榎並柾樹への牽制を。