―バン!―


怒りと悲しさを扉にぶつけて勢いよく部屋に入ればそこは私だけの空間。


伝い続ける涙を乱暴に拭うけれどそれは止まる事を知らないかのように流れ続ける。


頭の中はぐちゃぐちゃ。
触れた唇は熱い。
そこに指を当てればひんやりとした感覚が伝わる。




…なんなの?


なんでキスするの!?
柾樹は好きじゃなくてもキスするの!?



―別に?ただしたかったから―


柾樹はただしたいってだけで私にキスしたの!?


…そこにいたのが私じゃなくても…キス、したの?




「…わけ、わかんないよ…」


リビングに設置されたふかふかのソファーの前に腰を降ろし体育座りをする私の涙は暫く止まらなかった。