「判ってるよ、だから…"吸収"を頑張ってるじゃねえかよッッ!!!」


神崎家で、出来ないといっていた"吸収"を、煌はやって除けようとしているのか。


炎の勢いは凄まじく、青のエネルギーを丸ごと覆って呑み込もうとしている。


しかしここは玲の領域。


玲の力の方が勝るのが道理。


しかも――

煌が斬った闇が、曖昧な外郭を歪な触手と化して、玲に纏わりつこうとする。


ならば――


「櫂、俺はいいから、あっち!!! 母親を何とかしろッッ!!! 闇属性なら、お前の方が有効だろう!!!」


形状を回復しようとする狂気の"闇"。


散ろうとしてまた集まる漆黒の"闇"。


「あははははは!!! 皆、皆…消えてなくなってしまえッッ!!!」


それが玲に流れ込み、玲が狂いの道を進むというのなら。


何処までも玲という存在を壊そうとするのなら。


「こっちは任せろ!!! ふんばれよ、煌ッッ!!!」


俺は――


母親に模した玲の狂気を、力の糧として吸い込む。


俺に向けた玲の狂気を…俺は受け入れる。



全て全て。


俺が汲み取る。


だからそんな狂気に顔を歪めさせず、

いつも通りの柔和な顔で――


芹霞を愛しに戻って来い。


俺から愛を感じなくても…芹霞なら、お前は愛を感じられるだろう?


愛する女からなら、お前は真実の"心"を見抜けるだろう?


お前の心の暗闇は、俺が全て持ち還るから。


戻って来い、玲!!!!


お前は――

そんな顔は似合わないッッ!!!