「玲!!!

こうなったのはお前のせいだからな!!!

『"優しさ"と"微笑み"に飢えてるらしいから』


もし変な虫ついたら、許さねえぞ、俺!!!」


涙目だ。


「何だよ、芹霞は年上男が好みなのかよ、そんなの聞いてねえ!!!」


男の好み自体――


そういえば俺は芹霞から聞いたことがない。


ああ、今はそれより。


「連れ戻す」


あらゆる意味で。


それが優先事項。



俺が居るのに。


俺が居るだけじゃ満足できないのか、芹霞。


玲に避けられて寂しいのなら、俺に甘えてくればいいだろう。


そんなに俺は頼りないか?


そんなに俺はガキか?


お前にとって、俺は玲を奪う…"嫉妬"の対象?


お前が向いているのは、俺じゃない男か?


七瀬が煌と手を繋いだ時のお前の顔。

玲だけが"大切な箱"に触れていいと言った時。


俺がどんな想いを堪えていたか、判っているのか?


考えまいとしていた不安が膨らんでいく。


「でも場所が判らないよ…」


遠坂が八の字眉になった。


「もう一度写真見せてみろ」


取り上げた芹霞の写真。


他の男の為に化粧していつも以上に"可愛く"なるなんて、本当に腹立たしいけれど。

可愛くなるのは俺の前だけにしろと叫びたいけれど。


手がかりは。


芹霞が何処にいるかの手がかりは…。