煌Side
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俺が黒髪――。


僅かな期待を抱いた。


俺がもし、櫂のような色になれたら。


俺からもし、安っぽい橙色が無くなって、それなりに見れる顔になったら。


芹霞は俺を見てくれないだろうかと。


誰かに追従しているワンコじゃなく、喧嘩してばかりの幼馴染ではなく、芹霞を愛する1人の"男"として。


――暫く口利かないッッ!!


芹霞の無視は正直かなり辛い。


完全な俺の嫉妬。

完全な俺の独占欲。


俺だけが持てる唯一の優越感、それを守りたかっただけ。


欲求不満のガキの駄々は、芹霞に正論かざされてすっぱり斬られた。


そんなつもりはなかったのに、櫂や玲、桜達に酷い態度とっちまって。


それに気付いて焦れば焦る程、言い訳がましい言葉が空回りして。


自己嫌悪に陥ったら、鬼神桜に怒られた。


そんな俺を優しく迎えてくれた櫂は、やっぱり俺を見捨てない大事すぎる大好きな幼馴染で、思わず泣いて抱きついてしまったけれど、その櫂に諭されて…芹霞が俺を許したっていうのはまた複雑で。


いつもだ。


俺が謝罪しても聞く耳持たない癖に、櫂の言葉には耳を貸す芹霞。


玲にも、噛み付くことなく、至って従順だ。


俺だけなんだ。


"絶交"とか"無視"とか。


ここまで格差をつけられると、"待つ"だけは辛くて。


俺のものだと、触れて…マーキングしたくて仕方が無いのに、


――盛るな、馬鹿犬ッッ!!


俺…男なんだよ。


好きな女に触れたい、欲しいって思うの…当然なんだぞ?


俺…香水女に、手出してねえんだぞ?


お前だけだと…禁欲してんだぞ?


お前だけ…なのに。