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ガツン。


「いだっ」


おでこに固い何かをぶつけて、あたしは痛みに目覚めた。


見慣れぬ天井、高級ベッド。


ああ、確かホテルに泊まって…。


眠い目をこすりながら、枕元にある痛みの元凶を手に取り…飛び起きた。


「宝石箱ッッ!!!」


誰だろう。


誰が取ってきてくれたんだろう!!!


あたしは猛ダッシュでリビングに向かい、朝の挨拶もなしに叫んだ。


「ねえ、誰誰誰!!? この宝石箱とってきてくれたの!!!」


ダイニングテーブルでは、ルームサービスと見られる朝から豪勢な料理を桜ちゃんと由香ちゃんが並べていて。


「櫂?」


椅子に座っていた櫂は頭を横に振る。


「じゃあ煌?」


隣で笑って話していた煌も同様な反応。


訊く前に、桜ちゃんと由香ちゃんにも否定された。


「じゃあ誰…って、あれ? 玲くんは?」


朝からにっこりほっこり玲くんが居ない。


「師匠は何か調べ物があるからと先に出ると、いつの間にやら置き手紙あって、現地集合になった。そんな朝早くから、何調べてるんだろう」


この宝石箱…玲くんがとってきてくれたのかな。


あたしが我儘言ったから、わざわざ玲くん家に行ってくれたのかな。


そう思うとじんと胸が熱くなった。


玲くんは何て優しいんだろう。