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  ◇◇◇


「やーい、やーい、この鬼ッ子!!」

「お前なんて死んでしまえ!!!」


また懲りずに、黄色いワンピースの少女を虐める悪ガキ共。


「またお前らかッッ!!!」


あたしはぶんぶん拳を振り回して、集団に突っ込んでいく。


「芹霞ちゃん、頑張って!!」


可愛い櫂の応援を背に、あたしの闘志は燃え盛る。



やがてガキ大将は泣きながら去り、残されたのはあたしと櫂と少女。


蹲り俯いて泣いてばかりいる少女の隣に、櫂がちょこんと座り込み、


「大丈夫?」


本当に心配そうな顔つきで、櫂は聞いた。


少女は驚いた顔を上げて、


「話しかけたら…穢れちゃうよ?」


そう言った。


「穢れるってなあに?」


こてんと頭を横に倒して、櫂はまた尋ねる。


「不幸になるってこと…」


そして少女はまた泣き出した。



なんて弱弱しい女の子。


あたしとは正反対で、どちらかといえば櫂のような…守ってあげたい可愛い子。


櫂はあたしの顔をじっと見て、そして笑った。



「僕は不幸にならないよ。だって大好きな芹霞ちゃんがいつも傍にいるんだもの。だから僕は…ずっとずっと幸せだよ?」


そう――

あたしが大好きな天使の笑みで。


「……か?」



そういう風に言われたら、思い切りぎゅっっとしたくてたまらなくなる。


可愛い櫂。


あたしだけの櫂。


もう本当に、大好き。



「……お、おい?」



あたしは両手を伸ばして――