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「あれ…お茶葉が切れてる。買い置き…何処にあるのかな?」


扉をぱたぱた開けて探し始める玲に、俺はにやりと笑った。


「俺、知ってるぞ?」


買い物に行かされてばかりの俺は、定位置に仕舞う処までしねえと芹霞にド突かれるんだ。


――最後までちゃんとやる!!!


ふっふっふ。


俺だけが知っているんだ。

俺だけが、芹霞との秘密を――


「玲、上の棚の…右から三番目に入っている」


「何で櫂が知ってるんだよ!!!」


思い返しても、過去、櫂の前で茶葉を切らしたことはないはずだ。


俺の記憶の中で、櫂は居間でのんびりとくつろいでいたことはねえ。


いつも芹霞の部屋で、俺とくっちゃべっていた。


「ああ、昔からあいつ、あそこに入れるんだ。母親に習ってな」


母親。


どくん。


8年前、死んだ芹霞の母親。


俺が見たことがねえ、芹霞の…。


――お母さあああん!!


何で――


――きゃあああああ!!


見たこともないのに、顔が判るのか。


何で芹霞の悲鳴が聞こえてくるのか。