よくよく話を聞くと、三柴さんは今年で29歳になるという。私の4つ上か。 「………椿」 「はい?」 「この話は忘れてくれ」 三柴さんは急にぽつりとそう言った。 私が首を傾げると、さらに言葉は続く。 「誕生日、だなんて祝ってもらったこともないし、…好きじゃないんだ」 金色の瞳が揺らぐ。 寂しそうに、悲しそうに伏せられた瞳は何を思い返しているのだろう。 私は何も言わなかった。 …そのかわり、ある決意を胸に秘めていた。