その次の瞬間、三柴専務は私の腰に腕を回し自分の方に引き寄せる。 「ぎゃっ!」 「色気のない声だな。…まぁいい、いじめがいがある」 耳元でそっと囁いたかと思うと、そのまま私をお姫様抱っこする。 一瞬のことでびっくりした私はとっさに彼にしがみついた。 「では椿はいただいていくよ。社長にも“真面目にやる”と伝えておいてくれないか」 私を抱き抱えたまま人事部長にそう告げると、彼は颯爽とエレベーターに乗り込むのだった。 ………って、おろしてぇぇ!!