その姿に私たちは息を潜める。 「―――やぁ、椿。暴君だなんて随分だな」 そこにいたのは眼帯をした男。 その低い声には確かに聞き覚えがあって、私の思考回路が完全にフリーズした。 「き、…のうの」 「言ったとおりだろう。ほら、また会えた」 唇に弧を描きながらクツリと笑う姿。 …デジャヴだ……… 「―――三柴専務!わざわざこちらまでいらしたんですか!?」 人事部長の慌てた声に、私は我に返った。