「はーい!」

「あら、旭!おはよう。」

「千草さん!?」

「入居者が増えた記念にイイモノ、持って来たわよー?
海理はもう起きてる?かーいーりー!?」

「ちょっ…空はまだ寝てるんですから大きな声出さないでください!」

「あらあらまだ寝てるのー?
まったく昼夜逆転もいいところね。
あら、海理。おはよう。」


彼は微笑みながら小さく会釈をした。


「入居祝いを持ってきたの。運ぶから手伝ってくれる?」


彼は表情を変えずに頷いた。
外に出ると小さなトラックには…


「土屋さん、わざわざありがとうございましたー!」

「いえいえ、望月さんにはお世話になってますから。」


焦げ茶色の4人用のダイニングテーブルと4つの椅子。
それが土屋さんと呼ばれたお兄さんともう一人のお兄さんの手によって下ろされていく。


「荷物はこれで全部ですよね?」

「ええ。ありがとうございました。」

「またいつでもお声掛けてくださいね。」


にっこりと微笑んで土屋さんはトラックに乗り込んだ。


「ここからは自力で運ぶのよ!
土屋さん、この後勤務だからね!」

「無理言って頼んだんでしょう、いつもみたいに。」

「あら、ばれた?」

「バレます!」


そんなあたしと千草さんのやりとりを、雪城さんは微笑みながら見つめていた。