「な…っ…。」

「お礼のちゅー。物足りないならもっとしてやるけど?」

「ままま間に合ってますっ!」

「んだよーケチ。」

「はぁー!?あたしのどこがケチよ!?」

「簡単にはキスさせてくんないとこ。」

「だ、だってあたしはシンデレラだもんっ!」

「…真姫。それこそはぁ?なんですけど。」

「瞬が言ったじゃん!」

「あー…あのな、お前は普通のシンデレラじゃねーよ。
お前はお転婆かつ鈍くて照れ屋の〝裸足のシンデレラ〟
ガラスの靴とかそういう繊細なもんは似合わねぇし、だから金も権力も持ってるような王子も似合わねぇ。
お前だから俺だし、俺だからお前。分かった?」


…正直、反撃したかった。
のに…最後の最後だけ…ちょっとずるい。
繊細なものは似合わないとか、鈍いとか…言いたい放題。
だけど…


「…分かってます!」

「ならいいけど?つーかシンデレラってバレンタインに王子になんかやったりすんのかよ?」

「え、…しないのかな?」

「海外って逆じゃねーの?
なんか男の方が女にプレゼントするとかって聞いたことあるけど。」

「じゃあシンデレラの話の続きにもしバレンタインがあったとしたら、シンデレラはバレンタインデーに王子様から何かサプライズ…とかかなぁ?」

「…なんだよ、そんな目で見られても俺はサプライズとか性に合わねぇから絶対しねぇぞ?」

「えぇー!してよー!」

「シンデレラはサプライズしてくれなんて絶対言わねぇ!」

「あたしはどーせシンデレラじゃないもんっ!」

「そうでしたそうでしたーお前はガラスの靴も持ってないシンデレラさんでしたー。」

「あ、バカにした!」