和也Side

「じゃ、向こうで待ってるよ。」

楠木さんを空港で母さんと見送った。
楠木さんは先に行って家を
確認してくれたりするらしい。
荷造りも完了していて俺達も
もうすぐにいける。

「さ、何暗い顔してんのよ。
クリスマス楽しみなさいよ~。」

母さんは後ろから俺の背中を強く叩いた。

「.....ああ。」

俺は楠木さんが乗っていった飛行機をだまって
見えなくなるまで見つめていた。


─────

「ん?ああ、今行く。」

玲奈は今日から元の家に帰る。
今日は引越しってカンジ。

来年の4月に玲奈の母さんが帰ってくる
らしくそれまで1人暮らしだとか。

俺は携帯を切って玲奈の家のチャイムを
鳴らした。

─ピンポーン

─ガチャッ

すぐにドアが開いた。
中からは髪をだんごにまとめた玲奈が
顔を出した。

「あ、和也。ほんと早かったね。あがって。」

「おう。」

玲奈の家になんてあがったことなんて
なかったから少し新鮮。

「ほらほら。入って、ちょっと汚いけど。」


そういったわりにはもう部屋も
整っていて俺が手伝えそうなことは
何一つなかった。