そう、アランは本当に無理をしていた。
身体に触れる逞しい腕や胸から感じた体温は、とても熱かった。
冷えた自分の身体が徐々に温まっていくほどに。
きっと相当の熱があるに違いない。
それなのに皆に心配かけまいと、平気そうに振る舞って・・・。
医務室で倒れた時にはパトリックが傍に居てくれた。
あの時倒れる前、自分がしたことについて不安がっていたら、元気づけるように声をかけてくれた。
少しでも役に立てたことが嬉しくて、堪らず涙が零れてしまった。
パトリックは優しい・・・。
でも、それでも、嵐の後に感じていた心細さや不安はずっと消えないままでいた。
襲い来る眩暈と闘い、身体が負けた後、おぼろげに覚えているのは、焦ったようなパトリックの叫び声。
ソファに身を委ね、薄れ行く意識の中で途切れがちに聞こえてきた、声。
不意に頬に当てられた手の温かさ。
身体の奥に火が灯る様に、ジンと温かくなった。
――この手・・・この少し固い大きな手は・・・覚えがある――
確かめようと重い瞼をゆっくり開けると、アランの顔がそこに、すぐに手の届くところにあって・・・。
見下ろすブルーの瞳が優しくて、つい甘えたくなった。
傍に居て欲しくて堪らなくて。
だけど、すぐに立ち上がって行ってしまいそうで。
アランは忙しい身なのに、いけないと思うのに。ほんの少しでいいから引き留めたくて。
自然に指が動いて服の端を掴んでしまった。
それがあんなことになるなんて・・・。
あんなに酷い怪我をしていたなんて・・・。
塔から危険な香りがしたあの時、すぐに下ろして貰おうとしたけれど、決して、そうはしてくれなかった。
それどころか、却って負担をかけてしまった。
自分の体のほうが辛いはずなのに・・・弱った身体を気遣って・・・。
アランの優しさに、溢れる涙が止まらない。
あれくらいのことで倒れてしまった自分の身体が恨めしい―――
「エミリー様・・・?早く食べないと、料理長が息を切らして持って来てくれた、せっかくのこの温かいお粥が冷めてしまいます。今、エミリー様がしなくてはいけないことは、これを食べて、ゆっくり休んで、早く元気になることです」
優しく微笑みながら、メイはトレイを近付けてきた。
これはアランが食べるようにと、置いてくれたもの。
土鍋からはまだ温かな湯気が出ている。
「そうね・・・」早く元気にならないと、また心配をかけてしまう。
アランの負担には、もう、なりたくない。
それに、少しでも何か手伝いたい。
溢れる涙を拭いて頷くと、メイは嬉しそうに微笑んだ。
身体に触れる逞しい腕や胸から感じた体温は、とても熱かった。
冷えた自分の身体が徐々に温まっていくほどに。
きっと相当の熱があるに違いない。
それなのに皆に心配かけまいと、平気そうに振る舞って・・・。
医務室で倒れた時にはパトリックが傍に居てくれた。
あの時倒れる前、自分がしたことについて不安がっていたら、元気づけるように声をかけてくれた。
少しでも役に立てたことが嬉しくて、堪らず涙が零れてしまった。
パトリックは優しい・・・。
でも、それでも、嵐の後に感じていた心細さや不安はずっと消えないままでいた。
襲い来る眩暈と闘い、身体が負けた後、おぼろげに覚えているのは、焦ったようなパトリックの叫び声。
ソファに身を委ね、薄れ行く意識の中で途切れがちに聞こえてきた、声。
不意に頬に当てられた手の温かさ。
身体の奥に火が灯る様に、ジンと温かくなった。
――この手・・・この少し固い大きな手は・・・覚えがある――
確かめようと重い瞼をゆっくり開けると、アランの顔がそこに、すぐに手の届くところにあって・・・。
見下ろすブルーの瞳が優しくて、つい甘えたくなった。
傍に居て欲しくて堪らなくて。
だけど、すぐに立ち上がって行ってしまいそうで。
アランは忙しい身なのに、いけないと思うのに。ほんの少しでいいから引き留めたくて。
自然に指が動いて服の端を掴んでしまった。
それがあんなことになるなんて・・・。
あんなに酷い怪我をしていたなんて・・・。
塔から危険な香りがしたあの時、すぐに下ろして貰おうとしたけれど、決して、そうはしてくれなかった。
それどころか、却って負担をかけてしまった。
自分の体のほうが辛いはずなのに・・・弱った身体を気遣って・・・。
アランの優しさに、溢れる涙が止まらない。
あれくらいのことで倒れてしまった自分の身体が恨めしい―――
「エミリー様・・・?早く食べないと、料理長が息を切らして持って来てくれた、せっかくのこの温かいお粥が冷めてしまいます。今、エミリー様がしなくてはいけないことは、これを食べて、ゆっくり休んで、早く元気になることです」
優しく微笑みながら、メイはトレイを近付けてきた。
これはアランが食べるようにと、置いてくれたもの。
土鍋からはまだ温かな湯気が出ている。
「そうね・・・」早く元気にならないと、また心配をかけてしまう。
アランの負担には、もう、なりたくない。
それに、少しでも何か手伝いたい。
溢れる涙を拭いて頷くと、メイは嬉しそうに微笑んだ。


