「20分だけ待てるか?」
「あ、うん」
あたしの返事を聞くか聞かないかの内に、奏はもう保健室から出て行っていた。
「大丈夫?熱あるなら早く言ってよね~!」
「うん、ありがと」
「倒れてる美莉亜を見つけて、ここまで運んだの、カナくんなんだよ」
奏…?
でも奏一年だからこんな所通らないはずじゃ…?
「愛の力ってやつじゃない?」
あははっ と笑いながら、実織がのん気に言った。
「優しいね、カナくん。美莉亜たちのマンションって、ここから歩いて40分はかかるのに」
いつもなら優しくない!って即答してたけど。
今日は素直に頷けた。
優しいよ、認める。



