郁人が静かに話す言葉に。
うつむいてじっとしている私に。
「後は、菜々美次第、俺の気持ちはそれが全てだから。」
ドアを開けてパタンと閉まる。
出て行っちゃったんだ郁人。
そんな風に私を突き放すの?
怒ってるの?
悲しいの?
郁人、今追いかけなかったら私達はどうなる?
でも、追いかけてなんていったらいい?
郁人を追いかけた。
何処?
まだそんなに遠くに行ってないよね
居た、階段を降りようとするところを走り寄り捕まえた。
「郁人っ!!嫌だ。」
びっくりした顔をした郁人の顔はいつもの郁人だった。
なんで、平気なの?
郁人婚約解消っていったんだよ。
いつだって、郁人は余裕なんだ。
なんか私は馬鹿みたいじゃない。
めちゃくちゃ頭にきた。
感情が爆発した。
「私はいらないってこと?不安ならやめようってこと?」
え、私何言ってる?
「郁人はズルイよ!縛りたがる癖に、縛らないって言うんだ。
抱きしめといて、離れていいよっていう。
私が離れないって分かってて好きにしていいってい言う。
見えない扉で閉めてるくせに。出口があると言う。
私が悩むことなんてくだらないことなんだ
郁人にとって私は手放せないものじゃなかったの?
もっと、縛って欲しいのよ、離れるなって言って欲しいのに!
中途半端な優しさの、
いい人ぶってる郁人の態度が
いつだって私を不安にしてるってどうして分かんないのよ!!」



