結城パパが言ってくれたように、

ゆっくりと準備をした。

会社の独身用の社宅を勧められたが、

ママが、残しておいてくれた私名義の貯金は、

私が、贅沢をしない限り目減りしないほど残されていたし

折角なら、不動産選びから自分で関わりたいと思っていた。

今日は土曜、午後から、会社に残務を片付けには行くつもりだが、

午前中、

会社の近くの不動産屋で、

広すぎて寂しくないようにコンパクトな1LDKを見つけた。

「いいですね、ここにしようかな。」

「日当たりもいいし、セキュリティも万全ですよ、女性にはうってつけです。」

案内してくれた不動産の社員は、

『香住』というネ-ムプレ-トをつけていた。

♪~~
「あ、すみません。」

と言って携帯を見る。着信画面には郁人の名前。

「はい、どうしたの?」

「えっ!!今から?うん、分かった。じゃあ会社のロビ-で。」