「その通りだけど…… 5年前にそんな資産家が亡くなっていたら、知っていると思うんだけど」 そう言って、真奈は考え込んだ。 相当な額の遺産が入るぐらいだから、大きな資産家であることは間違いないと思った。 だけど、真奈にも寛子にも、そんな資産家が亡くなった覚えなんてなかった。 「あっ! 1人、知っている」 急に真奈が大きな声を出して言った。