「──違うの」



首を横に振る私を、ショージさんは「?」って顔をして見上げた。


その綺麗な瞳を、私はしっかり見つめ返す。




「秋は私の旦那じゃない。

──実の兄よ」




意味がわからないというような、呆気にとられた様子の彼に、私はもう一度言う。



「秋は血の繋がった兄妹なの。

その彼を…私は本気で愛してた。
兄じゃなく、一人の男性として」





静まり返る部屋の中で、時計の針の音だけが規則正しいリズムを刻んでいた。