自分の気持ちがようやく分かったというのに、俺の心はより一層沈んでいた。

 どうしたらいいのか分からないのだ。



“柏木さんが好き”
 
 この想いに間違いはない。

 否定する気も、ごまかす気もない。




 だけど・・・・・・。

「いいのかなぁ。
 俺、柏木さんのこと好きになってもいいのかなぁ」

 今の世の中、年の差のあるカップルなんて珍しくはない。



 なのに。

 どうして俺はその『年の差』にこだわってしまうのか、理解できないでいる。


 もしかしたら、『俺みたいな“オジサン”は、相手にされるはずがない』という、無意識下の思い込みによるものかもしれない・・・・・・と、しばらく経った後に気がつくことになる。





 どのくらいその場にいたことだろう。

 俺以外の3人は車通勤ではないから、もうとっくに帰ってしまっているに違いない。



 たった一人きりの駐車場。

 再び大きなため息。




「もうすぐ30になる俺なんて、相手にしてくれるはずないよなぁ・・・・・・」


 悲しい呟きが、2月の冷たい風に吹き消されていった。