「だけど、あの時三山さんがきてくれなかったら、あのお客様に迷惑をかけたままにな るところでしたもん。
 本当にありがとうございました」
 改めて、由美奈ちゃんが頭を下げる。

「もういいよ」


 ざっと見渡すと、ホールスタッフ達はみんな更衣室に引き上げたようだ。

「他の人たちはもう着替えているみたいだよ。
 柏木さんも行ったら?」

「はい。
 お疲れさまでした」

「お疲れさん」



「その服を着ている三山さんは、いつもよりかっこいいです」
 にこっと笑う由美奈ちゃん。

「えっ?!」

「それじゃぁ、お先に失礼します」

 彼女は来た時と同じように、早足で駆けて行った。







「いきなり全開の笑顔は反則だよぉ・・・・・・」



 腰砕けになった俺は、その場にへなへなと座り込んだ。